岸和田一文字 夏

深夜一時半起床、二時半、同行のHさん宅のマンションに着く。Hさんを拾って一路、泉大津フィッシングマックスへ深夜の国道を走る。三時四十分、Iさんと合流。岸和田の「山田渡船」に四時に着く。四時半の渡船で沖の一文字へ上がる。

今日は雲一つない晴天である。昨日異例に早く梅雨が明けたのであるがそれにしても、いきなり真夏になったようである。

今日は、ちょっと身軽な釣りをしましょう と穴釣り(ずぼ釣り)でガシラ狙いである。超硬調短竿(1.2m)を使ってケーソンの隙間に潜む魚を捕らえようという楽しい釣りである。
Hさん、Iさんとはかれこれ二十年ちょっとのお付き合いで、Iさんは私の元勤務先の先輩(専務)、Hさんはその時にお世話になっていたデザイナーなのである。途中数年のブランクはあるものの、最近はまた元のように月一で飲み合ったり、釣りに出かけたりしている。何とも不思議な縁で繋がっているような、その分遠慮会釈なしの間柄なのである。

今日は一番船から混んでいた。中には女性の姿も見かける。一文字波止に女性が上がるのは勇気が入るだろうな。何しろ全くの何にもなし、トイレがないのである。男ならちょっと隠れて「大」でもできようものだが(非常に勇気がいるが以前Hさんがやった)女性は辛いだろうと思う。

三人寄れば文殊の知恵というが、我々の場合ただ姦しいだけである。しかしそれも楽しい。大笑いしながら釣って行く。毎度のことだがHさんの言動に趣きというか天然のボケ感があり、今回も非常に面白いことが多数あったのであるが、ご本人の名誉と尊厳のためにここでは伏せておくとしよう。
とにかく、喋り続けた六時間であったが、釣果はあまりぱっとしなかった。

陽が上がってくると活性が落ちてくる。するとガシラはより奥の隙間に入り込んで餌を狙うようになる。そこでより厳しい隙間に糸を投入せねばならず、俄然根掛かり頻度が上がるのである。しかも針に掛かった敵さんは怒り狂って鰓をうんと拡げ抵抗する。もうそうなると梃子でも動かない。しかし向こうは決死の覚悟であるので駄目なときは諦めて糸を切る。こちらが負けるのである。
帰りの船まであと一時間程で私の手頚が痛み出したので納竿。海の景色を眺めながら握り飯と家から持ってきた水筒の氷の入ったお茶で一服。正面に神戸の街並や明石海峡大橋がよく見える。淡路島、友が島、関空とここは絶景である。海を渡る風が心地良く吹いて強烈な陽射しが気にならなかった。帰って足の甲をみたらサンダルの形に焼け残っていて、ニシキヘビのようになっていた。

もうすっかり真夏である。波しぶきが爽快。まあ海水は綺麗とは言い難いが、波は白い。
やっほ〜い。

真っ青な空に真っ赤な灯台コントラスト。夏だ〜。

ガシラは今晩の食卓の上に。唐揚げにして食べました。香ばしくて非常に美味しかった。感謝である。