台風接近中の京都岡崎

日曜日、本当は白山スーパー林道サイクリングだったが如何せん、台風接近である、台風2号ソングター。土曜日に主催者から中止の知らせが届き、スーパーがっくし。天気には勝てんわい。チームの方々はそれでも開催された鈴鹿エンデューロ、美山ロードと出られたらしい。素晴らしい!ガッツである。オツカレ〜である。

当方というと、朝からな〜にもする気がなくて一時間ほどローラー台でペダル踏んでましたが、シャワーしてたらついつい欠伸がというテイタラク。よし、こうなったら気分転換にと先週末に始まった「青木繁展」を観に行きました。雨だから人も少ないだろうと言う算段でして。
アレクサンドロス大王に憧憬していることを自ら述べていたことから私にはなにか途方もない破天荒な人というイメージが強い青木繁ですが、この展覧会でどうやらそんなイメージは没後に周辺の人達によって造り上げられたものだったのだと分かりました。むしろ実際には非常に繊細な情緒を持った作家だったようで、しかもその短い一生のうちで華やかな時間といえば、こんな台風の空から瞬時雲が切れて一筋の日光が水蒸気のチンダル現象放射線を描く刹那のように、短いものでした。有名な「海の幸」時代前後の一瞬だったようです。生活も相当苦しかったらしく知人に宛てた書状には、至急三円借りたいが無理なら二円でも良い、という意味の言葉が慎ましく書いてあり悲しい笑いを誘います。それにしても有名人と言うのは死んだ後にこんな恥ずかしい手紙なんかも公開されてしまうんですね。つくづく有名人にはなれない自分にホッとしたりしてしまいました。私なんて死ぬまでには絶対に処分せねばならないものがワンサカありますから。きっとそれを公開されたら最後、百代末代までその恥辱が拭われることはなかろうと思わるくらいのものもあります。いやいや人生永く生きているといつの間にか恥ずかしいものが増えてきますね。
さて、その傑作「海の幸」の現物を間近によ〜く観てみますと、ちょうど右から二人目の人、何だか顔がちょっと白すぎませんか?まるで顔をパックしている人みたいです。不自然です。実はこれは恋人の「福田たね」さんの顔だとは以前から分かっていたのですが、よくよく観ますとですね、どうやら加筆した形跡ありなんです。これが私を悲しませました。完成された神話に敢えて一点、生々しい執着を加えてしまったというか、たねさんへの愛情が筆を取らせたというか、しかもこの人物だけ真っすぐこちらへ視線を向けているところからも、その裏に潜む愛憎離苦を感じずにはいられませんでした。
それでもやはり青木繁は天賦の才がありますよね。やっぱりこれだけ描けるんだったらちょっとくらい恥ずかしいところを公開されてもいいやと思ってしまうくらいです。ただスケッチなんかはわり〜と巧くない、サラッと描いている。こんなんで良いのかと思うくらい。たぶんそんなところが師である黒田清輝に叱咤されていたのだろうかとも思う。何やらいろんなことを考えながら出口に向かったのでした。会場の近美の一階にあるカフェで休憩。そこで隣の席の中年男女の話がやたら面白くて思わず聞き入ってしまいました。なんでも女性のほうのご子息らしきが商社員かなんかで世界中を飛び回っているそうで、各地の珍奇談をご披露されていた。また、男性もなんだか元外交官らしきで話がワールドワイドだったです。お二人の周りだけ異次元空間でした。
初めて気付きましたが向かいの市立美術館には立派なヤマボウシがあるんですね。まるで雪を被ったように真っ白に花が咲いていました。うちの庭にあるヤマボウシとは違いますわい。
ささ、来週は久しぶりのチーム錬。恥ずかしい走りを披露しなくてはなりませんな。