今年も咲いた


ヤマシャクヤク(山芍薬)は今年は四つ花をつけてくれた。ほんの数日だけに終わる儚い花だが、だからこその美しさを秘めている。京都北山の某所、杉木立の下。薄暗がりにぼうっと白く幻のように浮かんでいたこの花を見たとき、不意に脚がすくんでしまったことを思い出す。幻想に遊ぶ精霊を見た思いだった。


ユキモチソウ(雪餅草)も開花。ザゼンソウ、テンナンショウ、マムシグサ、あるいはウラシマソウと同類。人一人いない深山でこれに出会うといつもぎくっとする。まるで蛇が鎌首を持ち上げているように見えたりするからだ。また秋になるとテンナンショウの実の原色の赤がどぎついコントラストを見せたりする。ちょっと個性的で灰汁の強い俳優を思わせる感がある。