気を取り直して その二

さて、太陽が真上近くに上がり光線の具合がよろしくないので、今回の撮影はこれにて終了ということで北野天満宮を後にして祇園界隈へ移動しました。贅沢にも昼間っから天ぷらが食べたくなってきましたので、安井にある「圓堂」へ行こうと思ったのです。近くのパーキングに車を止め店の玄関まで来たときに、中から着物姿の女性が数人出て来られ店先で談笑し始められました。それで心理的に何か急にしょぼくれてしまって、この日は天ぷらを諦めました。まだ精神的に不安定なところが治りません。相変わらず抗鬱薬のお世話になっています。ただ以前より対処に技巧ができたというか、うまく付き合えるようにはなって来たと思います。で、気分転換にその辺りをぶらつくことにしました。先ず訪ねたのがこちらです。

六道珍皇寺閻魔大王と話し合ったという小野篁(たかむら)所縁の寺院です。案外こじんまりとした佇まいです。小野篁は遣隋使、小野妹子の子孫、三蹟のひとり小野道風の祖父にあたる人でなかなか不思議な逸話のある方なんです。閻魔大王の補佐をしていたことは有名で、この寺にその時通ったという井戸があります。

この女性が覗いている向こうにあります。

見えにくいですが、赤い祠の右側にその井戸がありますね。今も地獄へ繋がっているのでしょうか。ちょっと覗いてみたい気もします。しかしこの篁さんも相当大きい人だったようですね。180センチ以上あったとか。しかも歌人としても有名で古今だったかの勅撰和歌集にも何首か載っているはずです。また一度左遷されているあたりは道真さんにも共通するみたいですね。この日は自然にキーワードができていたような気がします。でっかい人、詩歌 左遷、 そして冥土。
寺を後にしてちょっとあの世にちなんだお土産を買いに行きました。ちょうどこの辺りにあったのを思い出したのです。

ここです。幽霊の子育て飴。以前はもうちょっと東にあったように記憶していたので、お店の人に聞くとやはり数年前にここへ移転されたのだそうです。けれど飴の製法や材料は昔のまんまだと仰っていました。

素朴な味わいが癖になります。昔、夜毎女が飴を買いにくる。しかも差し出したお金は後になってみると木の葉に変わっている。これはおかしいということである夜、女の後を付けてゆくと近くの墓地に消えていった。するとどこからか赤ん坊の泣き声がしてくるのでよくよく探してみると、なんと墓の中から聞こえてくるではないか。大急ぎで掘り返してみると紛れもなく元気な赤ん坊が現れたということです。我が子を養うために幽霊になってまで飴を買いに来たという母性に心打たれる話ですね。それ以来この飴を幽霊の子育て飴として売るようになったということです。でもこの飴ホントうまいんです。麦芽糖の仄かな甘さなんです。
この後、ここまで来たんだからと六波羅蜜寺にも立ち寄ってきました。

ご存知、平清盛墓所の一つがここにあります。平安時代、平家の本拠六波羅殿がこの辺りにあったのですね。時間があればというか空腹でなければ入館料を払って開祖空也上人の木像を拝見したかったのですが、腹時計が限界になってきましたのでそそくさとおいとましました。
結局、どこにもいい感じの店が見当たらず、駐車場までかえって来てしまいました。さて困ったどうするかと辺りを見渡してみると、ひっそりと看板が見えるではないですか。

ここは穴場でした。

オムライスもコーヒーも美味しかったし、何より落ち着けました。今度からちょくちょく寄らせて頂きましょう。