近所徘徊

収穫した米の保存に新しい保冷庫を入れることになったので、今日は午前中納屋の掃除をしてました。午後からトラクターにでも乗ろうかと思っていたんですが、やはりまだ田の土は乾いていなくて断念。うちの田には昔ながらのレンゲ(ゲンゲ)を咲かせていますので、刈り取り後のこの時期に耕耘、播種せねばなりません。春になると毎年、近所の幼稚園の園児が遊びに来てくれるのもレンゲを続ける理由の一つなんですが、もちろんやはりレンゲはよい肥料になってくれていると思っているので、ちょっとだけ手間入りですが毎年蒔いています。
さて午後から時間が空きました。何をしようか。描きかけで止まっている絵を仕上げようか、ウクレレの練習でもしようか。でもやっぱりこんなに良い天気の日は外に出よう、ということでサイクリングに出かけました。
とはいえ午後からだとあまり遠くには行けません。そこで近所の山の上にある天台宗の古刹「本山寺」に上って来ることにしました。以前にも書いた通り、心臓に負荷がかけられないので脈拍数150以下でゆっくりと走りました。

短めのきつい坂を上がって先ず立ち寄ったのは「神峰山寺(かぶざんじ)」役小角開基と伝えられる天台宗のお寺です。紅葉が見事で何度かスケッチにきています。ここの住職が高校美術部の先輩なんです。
それは置いといて、先に進みます。ここから道は斜度を増して本格的な山岳ルートになります。たぶんポンポン山からの帰りだと思われる山ガール達が大勢下りてきます。中には明らかに山姥と思われる年代の方もおられたように思いますが、多いですね最近、山ガール。可愛いファッションで山が明るくなりました。もっと増殖して欲しいものです。山姥でもいいですから(笑)

川久保別れに到着。ここから本山寺駐車場手前まで本腰の激坂区間です。頑張って行きましょう。
しかしきつい坂です。写真を撮りたかったのですが途中で止まろうものなら、いかにMTB用の低いギヤ比の我が愛機でも再出発は困難ですので上ることだけに専念しました。

脈拍数(心拍数)の許容上限ギリギリでなんとか駐車場まで来ました。実はこの場所には大きな石碑があり、以前ここへパナソニックシクロで来た時にも写真を撮ったのですが、無くなっていました。どうやら後ろの崖が崩れたようです。
ここから道はコンクリ敷きとなり、斜度は益々キツくなります。コンクリの継ぎ目はよくあるゴムです。これが地面から5,6センチ高くなっていて乗り越え時にへたすると前輪が持ち上がってしまいます。崖側にガードレールのないところもあり怖いのですがとにかく行けるところまで乗って行こうと頑張りました。

はい、ここで終了。脚がついてしまいました。もうちょっとだったんですが無理もできないので押しが入ります。
ここから先、最後の一踏ん張りで勧請掛に着いたのですが残念です。

本山寺山門に到着しました。さすがにこの時間(午後三時過ぎ)ここまで来ると深閑としてします。でも今日は陽射しが明るいので寂しくはありません。本山寺持統天皇10年に役小角の開山という古刹。先ほどの神峰寺を根本山、僕が棲む町にある安岡寺が南山、そしてここが北山として高槻の三山と呼ばれています。毎年正月の初寅には沢山参詣の方が上ってこられます。

愛車を立てかけている大樹は銀杏です。実は内心この銀杏の紅葉を楽しみにしていたのですが、ちょっと早かったようです。というか早過ぎました。葉はまだ青々としています。でもこの銀杏の紅葉は美しいんです。落ち葉も見事に黄色の絨毯になります。たぶん御本尊の毘沙門天が僕にもう一度上ってくるように紅葉を先延ばしにされたのだと思うようにしましょう。今度は歩いてきます、はい。

この上が本堂ですが今日はここから合掌させていただきました。

この門の向かって左側には以前、白壁の建物があって、その白さの上にモミジの透過光が揺れて、その切ないような美しさが非常に印象的だったのですが、無くなっていました。老朽化したんでしょうか。ちょっと悲しかった。
ささ、そろそろ山を下りましょう。
下りは歩きです。恐ろしくて乗っては下りられません。ちなみに自転車を押して坂を下るときは左手(下ハン)で軽くブレーキレバーを握っておくのが楽なんです。日本では大体左側がリアブレーキなんですがそれを軽くかけておくことで自転車が先走りしなくなり、ちょっと重心を委ねて歩くこともでき体力温存になります。

上って来た時に脚がついた地点にある地蔵堂。お礼を述べて帰ります。
真宗の寺に生まれた僕は幼い頃より仏教にご縁があり勿論今も毎朝のお勤めはしていますが、教義では真宗に於いては仏像を拝むことはありません。お釈迦様も偶像崇拝は戒められておられますが、凡夫の僕はやはり仏に会うと手を合わせずにはいられません。たぶんお釈迦様からも親鸞様からも赦してもらえるんじゃないかと思っているんですが。

先ほどの別れから川久保方面へ鬱蒼とした道を進みます。秋の日は釣瓶落とし、先を急ぎます。

川久保の鳥居まで下りてきました。神仏習合の名残りです。明治の廃仏毀釈まで神社と寺院は仲良くやっていたのにねえ。一括りには出来ないけれど神道という民間宗教と仏教のような創唱宗教は上手く習合できるのだと思っています。政治のやることは今も昔も全く理不尽な側面がありますね。

ちょっと脚を伸ばしてベニーカントリーまでのダラダラした坂を上り返します。ここらへんでカメラの電池が赤信号になりました。しまった、充電してなかった。後悔先に立たず。ちなみに今日のお供カメラはFuji Finepix REAL 3D W3。名前の通り立体写真が撮れるデジカメなんですが、普通に写してもなかなかの実力なんです。僕の好きなCCDだからという贔屓目もありますがきっちりと写ります。ただ逆光に弱いのとレンズの位置が微妙で普通に握ると指が写り込んだりしてしまうので要注意です。

淀、八幡方面だと思いますが、いよいよ日が暮れてきました。でもこのひと時の色の感じが好きなんです。スペインの画家アントニオ・ロペス・ガルシアの色とでもいいましょうか。水彩でもこの空気感を出したくて出してくて。

柳谷(楊谷)観音で一枚パチリ。人っ子一人いません。ここから手を合わせて早々に退散。もうカメラの電池が絶体絶命です。

本当は長岡天神へ下りて帰ろうと思っていましたが、暗くなってからの走行は極力したくないので山崎へ下りて西国街道を帰りました。この写真を最後にカメラは沈黙してしまいました。
短いながらも楽しいサイクリングになりました。レーサーだとどうしても先を急がされて走るために走るようになりますが、今回はランドナーで走ったお陰で景色を堪能できました。近くとはいえゆっくりと眺めると新鮮な気分がしますね。

今夜は家内が娘のところへ行っているので、またしても天婦羅を作りました。大好物なのは母親譲りなので仕方ありません。

作り過ぎました。