稲刈り2010

今年も稲刈りが始まった。私が家内の家に入ってから二十五年。農作業もだいたいのことは判ってきた。数年前からはいよいよ私たち夫婦が主体になって米作りをしている。ほんの数反程度の畈畝に大げさなことは語れないが、それでも毎年反省もあり失敗もある。「百姓の来年」とはよく言ったものだ。

コンバインも年に一度この時にだけ動かすものだから、今年も新しい発見があった。自動スイッチで稲の列を捕捉して刈り取ってくれるというものだ。いわゆる自動操縦、これは便利だ。刈り取り中は手放しでOK。ただ圃場での回転は手動だし、うちのような変形の畈畝ではたまにミスるのであくまで補佐的に使用しなければならない。


次の畈畝。コンバインを入れるには先ず田の廻りをあらかじめ刈り取らねばならない。これは別にバインダーなる機械で田のふちを一条だけぐるりと刈るのだが、田の四隅の圃場(コンバインの回転スペース)は手で刈り取る。鎌を使って数束稲を刈り右足の上に乗せ、また数束刈ってその上にやや角度をつけて重ねる。腰につけた藁束から数本引き抜き、足をくいっと上げて稲束に通し持ち上げざまに内側に一回転捻って最後は右親指でぐっと中に通して締める。この作業が案外カッコいいと思う。いわゆる職人技。以前はこれを稲木に架けて干したのである。ちなみに今も餅米は全てこの方法で収穫する。粳(うるち)米と違って餅米は乾燥機を嫌う。よって全て人力である。餅は手間がかかるのだ。それと藁縄には餅藁を使うのが本当。粳藁は硬くて切れやすいが餅藁はしなやかで強いからだ。


刈り取りの合間を見て納屋で脱穀。これも一昔まではいちいち大変な作業だったが、今はセッティングしたらスイッチオンで定量(30キロ)ずつ玄米を袋に詰めてゆく。米袋の交換はさすがに人力だけれど飛躍的に効率が上がった。ちなみに中央にあるオレンジ色の箕(み)は不良米をうけている。これはポン菓子の原料になる。あとで業者が引き取りにくるのである。
この後まだ数枚の刈り取りが残っているが、流れ作業なので天気を見ながらこなして行こう。尚、今年の作柄はやや不良である。質も落ちているようだ。猛暑の影響である。