アバター

映画「アバター」の3D版ははスゴいらしい。立体の表現が過剰ではなく、適度に3Dなのがいいらしい。
途方もないSFメルヘンなのだが大人も充分に楽しめるという。知り合いの人も多数観に行ってるし、概して評価も高い。
やはり立体視できるというのが興味をそそるのだろう。最近はアメリカで開催された家電見本市でも3Dテレビが話題になっていたし、ここのところ立体視が流行になって来ているのかも知れないですね。

私はカメラのコレクションの趣味もあるのですが、ライカは1台しか持っていません。正確に言うとバルナックライカの完成型gIIIなんです。以前はM3も所有していましたが保管庫の肥やしに成り果て、ついには売り飛ばしました。でもこのgIIIが今もここにあって、たまにフィルムを通してやるのには、ひとつに私の生まれた年に製造されたものなのだということもあるのです。いや本当は半年ほど私のライカの方が年上なのですが、ほぼ同年齢といえるでしょう。
私の生まれた1958年(昭和33年)は日本では東京タワーが建ち、アメリカではNASAが発足されたりと、時代はいよいよ電子工学や宇宙工学といった分野が急成長を遂げようとしてしていたのだと思います。
その頃、写真の世界でも大きなエポックがありました。ステレオカメラブームが巻き起ったのです。アメリカで端を発した3D写真ブームはたちどころにヨーロッパ、日本と飛び火して熱烈な愛好家達が多くの作品を披露したと聞きます。その流れは70年代になるまで続き、現代でも「ビューマスター」などは一部のコレクターに人気が高いものです。


初期のビューマスター(レンズはローデンシュトック製に改良)とハリポタのディスク


ただ、肝心のカメラはというと、名機のステレオリアリストに続いて、コダック、ローデンストック等も続々廉価なカメラを世に出したのですが、その後は尻すぼみ、大御所のライカや日本の光学器メーカーも、最後までこの分野には食指を延ばすこともなくレンズに取り付ける3Dアダプターなるものでお茶を濁す始末、あれだけの大ブームは時代の生んだ徒花という風情になってしまいました。

リアリスト2台、手前はレンズがf2.8のもの(水準器搭載)

ということで私が三十代に成り立ての頃、東京のとある中古カメラ店のウインドウで初めてリアリストに出会い.その造形の面白さにハマってしまった時分には、世の中ステレオ写真のスの字も見当たらない状況でした。しかしなんとかステレオマウント(これがなければ写真観賞ができません)を海外から取り寄せてもらったり、英語の書展を漁ったりして細々と楽しんできたものです。

リアリスト製ステレオビューワー100v対応(ランプは白色LEDに交換済)

しかし最近はインターネットのお陰で海外のステレオ写真関係のサイトも閲覧できるようになり情報や物販も盛んになってきましたし、我が国にも優れたサイトがたくさん見受けられるようになりました。とはいってもまだまだ一部のマニアの間での話なのですが、かの「アバター」が大当たりして、さらに3Dファンを増やしてくれないものかなと、密かに期待しているのです。
一昨年に新しい3Dカメラを購入しました。ホースマン社製3D。何故この時期に3Dを売り出したのか不明ですし、おそらく研究者を除いてこれを購入しようとする勇気のある人はあまり居ないと断言できます(笑)。しかも、たぶん今後おそらくフィルムステレオカメラなるものは市場に出るわけがなく。その点では空前絶後の珍品とも言えるでしょう。これはフジのワイドカメラを本体にレンズ等を二眼にしたものでナカナカよく写ります。当然フルマニュアルのリアリストとは比べる時点で不毛というべきですが重さは同じくらいあります。リアリストがお蔵入りしそうです。一つ難を言えば二つのレンズの間隔(ステレオベース)が34mmと狭いため遠景では写真の立体感が出にくいのです。逆を言えばポートレート向きなのです。そこでこれも私と同年齢の中年リアリストは風景描写用に辛うじてバッグの中に鎮座ましますということになりました。まだまだ若いものには負けられんということですね。

明日あたりアバター観に行こうかと思います。


09 春 亀岡のお寺でグッチと


09 春 京都東山界隈


09 秋 京都美山の案山子

ステレオ写真裸眼鑑賞法:上の三枚は交差法でご鑑賞下さい。交差法の簡単なやりかたは先ず画面から80センチほど離れ、二枚の写真に真っすぐに視線を送ります。次に目の前20センチあたりに人差し指を一本立て、頭を動かさずにその指を凝視して下さい。すると背景の二枚の写真が重なって見えてくると思います。しっかり写真にピントがあったら指を下ろして下さい。見えるかな?