磯江 毅回顧展

かねてより観るつもりでいた「グスタボ・イソエ 磯江 毅」回顧展に行ってきた。奈良県立美術館である。
磯江 毅は日本人画家のなかで僕の最も尊敬して止まない一人である。徹底したリアリズムを追求した天才である。彼の作品は写実を越えて存在自身の尊厳までも表現しているように思える。単身スペインで学び、かのアントニオ・ロペス・ガルシアおも唸らせたその超絶技法はスペインの伝統技法を見事に踏襲したものであった。死後初めての本格的回顧展の今回、新たに見つかった夥しいデッサンを眺めているとその習熟の軌跡が手に取るようにわかる。しかし彼の眼差しはそのテクニックの先を見据えていたに違いない。53歳で急逝したこの天才がもし今も生きていたなら一体どんな作品を僕たちに見せてくれたのだろう。会場を後にする刹那に身震いと同時に激しく熱いものが目頭にこみ上げてくるのを止めることが出来なかった。合掌。

今回は不安を抱えながら車で出かけたのだが、コンビニで買った「レッドブル」のカフェインが効いたのか居眠りは起こらなかったが流石に170号線の渋滞で疲れてしまい、道を外れて京大農場へ一息入れに行った。実はこの時期この農場では柿を安く販売していて、これが非常に甘いので毎年購入しているのである。ついでに今年も買って帰ろうと思ったのである。着いてみると正門の前の道の銀杏が今まさに見頃で、しかも晩秋の夕日がノスタルジックな建物の壁をオレンジイエローに染めている。これはスケッチしないと勿体ないと急いで二枚描く。調子の悪いデジカメでも写しておく。

帰宅後シャワーを浴びて一段落したから描きかけの絵を仕上げる。

自分の実力ではこれが一杯一杯である。